ON8、その2
今さらですが、私は吉澤さんの矛盾や混沌が好きである。
気持ちの波間をほわーっとした顔やキリッとした顔でサーフしていく吉澤を砂浜から、あー、とか思いながら眺めてる感じ。たとえば、この日のラジオでの、こことここ。
番組開始17分ぐらい
パ「ところで、よっすぃ、サンタさんからのプレゼントがもらえるとしたら何がいい?」
吉「ガラスの・・・靴(乙女な言い方&エコー)」
CM明け
パ「ガラスの靴、なんともロマンティックな答え」
吉「なんかね、なんかねぇ、憧れなんですよねシンデレラなんかにも出てくるじゃないですか」
パ「出てくる」
吉「ガラスの靴って。なんかねぇあれは、本当に、憧れ?ほんとに、本当に理想の女性像がワタシの中ではあって(早口)、その人しかあれは履けないんです(ここはゆっくり)」
パ「そうだよね」
吉「それが欲しいんです」
パ「世界にたったひとつ、こう、よっすぃのためだけの」
吉「ガラスの靴ですよ。足ちゃんとフィットしなきゃいけないんですかねぇ、これ採寸しないとだめですね」
パ「ちゃんとね(笑)入るかどうかね。ちょっと、入って、何をしたいの?」
吉「何をしたい?(意外な質問に驚く)」
パ「どっかに行きたいか、それとも履いた喜びをジーンと味わっていたいか」
吉「えーでも、えーでもほんとなんか、お城にいたいですね」
パ「あーいいね」
開始25分ぐらい
パ「よっすぃの理想の女性像は?」
吉「あたしはぁ・・・前代未聞・・・・の・・・おんなですね」
パ「前代未聞のおんな、すっごいデカイ感じは、しますけれども」
吉「もう『これは女性なのか?』っていう域を超えたところに行きたい」
亀「(笑)」
パ「想像(笑)、エンターテイメントの世界みたいな感じがするよね」
亀「なんかもう、うん、そんな感じするよぉ(泣笑)」
吉「なんかこう理想の女性っていうとぉ、ほらなんかお母さんみたいにぃとか、
なんかこう誰だろうなマリリンモンローとかいろいろ出てくるじゃないですか、
今あるものはダメなんですね(きっぱり)」
パ「ないところで道を自分で切り開いて」
吉「ないところで」
亀「かっこいいー」
パ「ほんとによっすぃ前代未聞な女性になりそうな感じ、今の時点でもう、なりそうな(略」
「理想的な女性」「前代未聞のおんな」っていうふたつの言葉が吉澤から出た。
言葉の印象はずいぶん違う。前者は優等生的な正しさとか美しさのあるイメージ。
後者は、ワイルドで、規格外の驚きがあってわんぱくなイメージ。
吉澤の意識としては、このふたつの「女性像」は別のものかもしれない。
でも、どちらも吉澤が自分のなりたい女性として持っているイメージだし、別のように見えても実は同じひとりの「女性像」を言ってるんだと思う。
一見、異なる2つのイメージを、自分の到達点としてごちゃまぜで見据えている点が非常に吉澤らしいと思った。
吉澤は前代未聞のシンデレラになりたい、と。
受動と能動の混沌。
シンデレラという類型的で受動的なヒロインに「憧れ」ている吉澤と、
「これはもう女性なのか?」というヒロイン性の否定から入る能動的な吉澤。
そして、ガラスの靴。
受動性をうかがわせる乙女なトーンの一方で、フィットしなきゃ履けないんだ、もし履けなかったらいやだから採寸して作らなくてはというふうに微妙に考えが現実的・能動的にシフトしていく。
しかし、そもそも「理想の女性像がワタシのなかであってその人しか履けない」と言っているから、ガラスの靴の型をつくったのは「ワタシ」であるはずだ。
だから主導権はもともと「ワタシ」(あんましワタシって言わないよね)にあるはず。
でも、どこか、靴に選ばれたいというような乙女な空気も漂っている。混沌。
あと、吉澤、ガラスの靴を履いて何したい?の質問で、無理におもしろいことを言わなかったじゃん?
ガラスの靴を履けたってことは、理想の女性になったってことだから、ある意味、ゴール。
何かをするために履くわけじゃない。だから「それを履いて何をするの?」と問われて、驚いたのも当然だし、お城にいたい、つまりそこから何かを始めたいわけじゃないという答えは吉澤的には一貫性のある素直なものだ。無理におもしろいことを言おうとしなかったのがいいと思った。
リアル照れもよかったし、別番組のどくろピースもいい感じ。
「18歳じゃなくてもそうしてください」
「はいリーダー」
吉亀のリズムが合っている。
ON8は楽しめたラジオでした。