「貸し借りのないサラリーマン人生は虚しい」という言葉を何かの本で読んだことがある。
辻も吉澤もサラリーマンではないが、広い意味で組織に属する組織人だ。さきほどの自分の文章を読み返したときの微妙な後味の悪さについて考えていて、そうか、吉澤が心配なあまり、点で考えすぎていた、線で考えなくては、と反省した。そして思い出したのが冒頭の言葉だ。
今回の辻の出来事、その一点で考えるのではなく、線で考えてみると、今は吉澤が辻を助ける側だが、いつかは逆のことがあるかもしれない、と思える。過去に既に辻が吉澤を助けたことだってあっただろう、われわれには見えないところで。
四期の絆。
絆って何だろう?
新解さんから抜粋するとこうだ。「断ちがたい一体感」「必然的な結びつき」。
なるほど。では、さらに一歩進んで、こんなふうに言えないだろうか。
絆とは「濃い貸し借りができる関係」と。
私は今回の出来事から、絆ってものをそんなふうに言いたくなった。新解さんに採用される予感はまったくないが。