※よこすか芸術劇場でのライブで吉澤さんが「ミキティの美脚に毛がモジャモジャのコントを作家なら書くべき」(だいぶ意訳)と言った「作家」を「娘。小説の作家」と誤解して書いた脚本です。
登場人物;
毛深井よしぞう(吉澤ひとみ)毛深井村の村長を代々務める毛深井家の当主、46歳。
毛深井美貴(藤本美貴)よしぞうの娘。22歳。東京で歌手になるのが夢だが・・・。
毛深井絵里(亀井絵里)美貴の妹。よく食べてすぐ眠る。
幸うす子(石川梨華)よしぞうの別れた妻。現在行方不明ということになっているが・・・。
毛長井小春(久住小春)毛深井家の分家筋にあたる家のあととり息子。毛深井家とは微妙に敵対関係にある。
毛短井れいな(田中れいな)絵里とつきあっている。代々、毛深井家とは、ある祭を通じて縁が深い。
シーン1
毛深井家の居間。お城のような立派な洋館。
夕食。豪華なメニューが並んでいる。伯爵家のような服装でよしぞう、美貴、絵里の3人無言で食事中。
よしぞう「うぉっほん!美貴、絵里、ふたりともちょっと父さんの話をききなさい」
美貴・絵里「はい」
よしぞう「いよいよ明日は、毛深井村の年に一度の大事な祭り『モジャ毛相撲』だ。ふたりとも準備は万全だろうな?」
絵里「はい、お父様、この通りです!」
絵里、サッと椅子から立ち上がり、ドレスの裾をたくしあげ、自分のモモとスネを見せる。モモとスネには大量のモジャモジャの毛が黒々ととぐろを巻いている。
よしぞう「うむ。立派なモジャモジャだ。U-20の部、勝利は間違いないな。美貴はどうだ?」
美貴「・・・・・・・」
よしぞう「ん?どうした?美貴のモジャモジャも父さんに見せてくれ」
美貴「お父様、美貴・・・モジャ毛相撲には出ません」
よしぞう「な、なにぃ?」
美貴「美貴は明日、東京にオーディションを受けに行くのっ!もうこんな村は出て行くんだからっ」
美貴、席を立って駆け出し、階段をあがる。追いかけるよしぞうに向かって、そこらじゅうのものを投げつける。たとえば階段踊り場にある先祖の立派なモジャ毛の肖像画。
よしぞう「美貴、やめなさいっ」
美貴、かまわず逃げて自分の部屋に閉じこもる。
美貴「もうイヤ!毛深井村なんてっモジャ毛相撲とかありえないからっ」
よしぞう、ドアに顔を近づけて、ドア越しに美貴に話しかける。
よしぞう「美貴、何をバカなことを言ってるんだ!宿敵・毛長井家との一騎打ち・モジャ毛相撲は村の大切な祭りだぞ」
ドアの内側。美貴の部屋。ドアを押さえる美貴。ドアを両側から押し合う2人。
美貴「モモとスネから長くてまっすぐな毛がたくさん生えてる毛長井家の人間と、モジャモジャの毛が生えてる毛深井家の人間が、がっぷり四つに組んでモモとスネをこすり合わせて一分、村人たちの『けぇぇぇぇえっ』の掛け声でパッと離れて、モジャモジャの毛が相手の長い毛を何本からめとったかで勝負が決まるモジャ毛相撲なんてもうイヤなのっ」
よしぞう「美貴、説明的な長セリフよくがんばったな」
美貴「だってよっちゃん替わってくれないんだもん」
よしぞう「よっちゃんじゃなぁああい!いいか、毛長井家のあととり息子の小春はモモスネ用キューティクル増強剤を開発して毛深井家のモジャモジャからツルンと逃げるピッチピッチできらきらりんのスネ毛を育ててるとのうわさだ。毛深井家の名誉にかけてモジャモジャを強化してあたらねば勝利はおぼつかんぞ!」
美貴、突然ドアを開ける。よろけるよしぞう。
美貴「うっさいなぁ。そんなに言うなら見せてあげるよ。ほら」
美貴、ドレスの裾をじわじわ持ち上げる。照明落ちる。赤いスポットライト。エロい音楽。ゴクリとつばを飲むよしぞう。美貴の脚がゆっくりと現れる。右足はモジャモジャ。だが左足はつるつるの美脚。
よしぞう「うぁあああ、美貴、ひ、ひ、左足がつるつるだぞ!」
美貴「だから言ったでしょ?明日はオーディションだからモジャモジャしてる場合じゃないの!右足だって、こうしてやるぅぅ」
よしぞう「待て剃るな!剃るより抜け!レーザーだ!いやそうじゃなくて」
かみそりを持つ美貴の動きを止めようとするよしぞう。しかし美貴はよしぞうを部屋の外に押し出して再びドアを閉める。ドアを叩くよしぞう。そこに絵里がのんきに現れる。
よしぞう「開けろ!美貴!」
絵里「ねぇおとうさまぁ」
よしぞう「うるさいっ絵里、いま父さんは忙しいんだ。ちょっと手伝いなさい、ドアを、ドアを、開けなくては!」
絵里「そんなことよりぃ」
よしぞう「そんなことじゃなぁああああああい!!!」
絵里「おーっとっとっと、そりゃないよぉ」
よしぞう「・・・・・・いいから何の用だ?」
絵里「えっとぉ、今かられいなくんとデートしてきてもいい?」
よしぞう「デート?もう夜だぞ?ぜったい許さん」
絵里「おーっとっとっと、そりゃないよぉ」
よしぞう「使いすぎだ、絵里。2度目はもうちょっと間を空けろ」
絵里「や、えと、あの、れいなくん、明日モジャ毛相撲の行司やるからいろいろ話きかせてってメールきてぇ」
よしぞう「なに?れいなくんっていうのは、モジャ毛相撲の行司を代々勤める毛短井家のやつか?」
絵里「そうだよ毛短井れいなだよ」
よしぞう「でかした!絵里、デートでもなんでも行ってこい。仲良くしてくるんだぞ」
絵里「うん!」
絵里、スキップしてテキトーに去る。よしぞう、再び美貴の部屋のドアを叩く。
よしぞう「美貴!美貴!開けなさい!」
美貴「絶対開けない。もう右足も剃っちゃったもん」
よしぞう「な、なにぃぃいいいい?毛長井家との勝負はどうなってしまうんだぁ!!!」
ガーーーン!という効果音とともによしぞう、カメラ目線で驚愕の表情。暗転。
シーン2
よしぞうの部屋。よしぞうはウロウロ歩きながら悩んでいる。
よしぞう「あれから美貴は部屋から出てこない。もう深夜2時だ。明日のモジャ毛相撲までになんとかして美貴のモモをモジャモジャさせないと毛深井家400年の歴史を汚すことになる・・・・困った・・・なんのーためぇぇえええ♪違う、これは違う、ぜんぜん違う芝居だ、落ち着け、俺が今すべきことは美貴の脚にモジャモジャの毛を生やすことだ、明日のモジャ毛相撲までに!・・・・そうだ、あの薬・・・うす子が残していったあの薬・・・・」
よしぞう、部屋の棚を猛然と探す。ガラスの小瓶を手に取る。
よしぞう「これだ!これを塗れば12時間後には立派なモジャモジャの毛が生えてくるんだ。モジャモジャが足りなかったうす子がヨーロッパのモジャリカ島から取り寄せた薬・・・・うす子・・・・モジャモジャがうすかったうす子・・・・モジャモジャが足りないと俺の母親がうす子につらく当たったせいで出て行ってしまったうす子・・・・今ごろどこでどうしているのだろう・・・・お前の残したこの薬が、今、役に立つぞ!」
よしぞう、部屋を出て絵里の部屋へ。
よしぞう「これを絵里に言って、美貴のモモとスネに塗らせよう。絵里!絵里!」
絵里の部屋のドアを開けるが誰もいない。よしぞう、時計を見る。
よしぞう「まだ帰ってないのかっ!?うーむ困った。早く塗らないとモジャ毛相撲に間に合わなくなる・・・・こうなったら・・・・仕方ない」
よしぞう、美貴の部屋の前に立つ。
ポケットから針金を取り出しピッキングで器用にドアを開けて部屋に入るよしぞう。
部屋の中は暗い。ベッドで寝ている美貴の寝顔。よしぞう、そっと美貴の布団をはぐ。
花柄パジャマの美貴の全身が現れる。
よしぞう「すべてはモジャ毛相撲のため、毛深井家のためだ」
よしぞう、美貴のパジャマのズボンに手を掛ける。
ジャーン!という効果音とともにカメラを振り向き、ニカッと笑うよしぞう。
よしぞう「俺が塗るしかないんだYO!クワガタさん!」
(つづ・・・・きませんYO!)
ていうかこれじゃ採用されねー!